日本ローカーボ食研究会

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17.辛い香辛料入りの食品の消費量と総死亡および死因別の危険度

辛い料理を食べた方がよい!!
辛い香辛料入りの食品の消費量と総死亡および死因別の危険度:前向きコホート研究
Consumption of spicy foods and total and cause specific mortality: population based cohort study.Jun Lv et al. on behalf of the China Kadoorie Biobank collaborative group
BMJ (2015) 351:h3942

目的:辛い食べ物の日常消費量と総死亡および死因別の危険との関係を調べる。

デザイン:地域住民を対象とした前向きコホート研究 

設定:2004年から2008年の間で中国の10の地理的に様々な地域の参加者が登録されているThe China Kadoorie Biobankを利用。

方法:試験開始時にがん,心臓疾患,脳血管疾患の罹患者をのぞき,年齢30~79歳の男性19万9293人と女性28万8082人を対象にした。

主な曝露の指標:試験開始時点に一度だけ自己申告された辛い香辛料入りの食べ物の消費頻度。

主なアウトカム:総死亡および疾患別死因の危険度

結果:3,500,004人・年で2004年から2013年までの追跡期間中(平均7.2年)に,11,820人の男性と8,404人の女性が死亡した。 
辛い香辛料入りの食べ物の消費量カテゴリー別の絶対死亡率は,1000人・年あたり週に1日以下の摂取で死者6.1人,1日または2日で4.4人,3日から5日で4.3人,6~7日で5.8人であった。
辛い香辛料入りの食べ物の消費量は、既知または可能性が高い危険因子によるリスク補正をしてもなお,男性女性ともに一貫して死亡危険度と高い逆相関を示した。
コホート全体では,辛い香辛料入りの食べ物を週一回未満摂取した人に比べてそれぞれの補整死亡危険度は週1~2回の摂取で0.90(95%信頼区間~0.84~0.96),週3~5回では0.86(0.80~0.92)、週6~7回では0.86(0.82~0.90)だった。
週に一回未満辛い香辛料入りの食べ物を消費人たちと比較して、週に6~7回では、総死亡の相対危険度は14%の減少を示した。
辛い香辛料入りの食べ物の消費量と死亡危険度の逆相関は,アルコールを消費した人に比べ消費しなかった人でより強かった(P=0.033)。この逆相関は、癌、虚血性心疾患、呼吸器疾患による死亡でも観察された。

結論:この大規模前向き研究で,習慣的な辛い食べ物の消費は他の死亡危険因子とは無関係に総死亡及びいくらかの死因別死亡率と逆相関することが明らかになった。

読後感想 
 今回が初めての英論文翻訳でした。どこの単語がどこに関係してくるかと専門用語が全くわからないので悪戦苦闘でした。それでも辛い食べ物が大好きな私としては今回の論文の結論はとても嬉しいものがありました。週に1回以上辛い香辛料入りの食べ物を食べた方が総死亡は10%程度減るという結果ですが,日本人の特に中高年以上の方は辛い物が好きな方は少ないかもしれません。中華料理は唐辛子を多く使っていますので,それを献立に取り入れるのも一方です。中華だけでなくイタリアンでもオリーブオイルと唐辛子の組み合わせは多く使われます。和食でも一味や七味を少しかけると風味が断然かわってくる料理もありますので皆さんの食生活に辛い香辛料を少しずつ追加してみてください。
残念なことに最先端の知識は日本語ではかかれていません。突然英語が得意になる訳でもありません。こつこつとジャーナルクラブの皆さんと英単語,論文専門用語を理解していけるように努力していきたと思います。(管理栄養士 渡邉志帆)

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