日本ローカーボ食研究会

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38.心血管疾患における血清尿酸値と死亡の関係

心血管疾患における血清尿酸値と死亡の関係:EPOCH-JAPAN研究
Serum Uric Acid and Moetality From Cardiovascular Disease :

EPOCH-JAPAN Study
Wen Zhang, et al., EPOCH-JAPAN GROUP
J Atheroscler Thromb. 2016 Feb 18. http://doi.org/10.5551/jat.31591

目的:アジア人における血清尿酸値と心血管疾患との関係を調査する。

方法:我々は、観察コホート研究であるEPOCH-JAPAN研究から心血管疾患予防のための根拠となるデータを用いて、上記の関係を調査した。36,313名の被験者(脳卒中、冠動脈性心疾患、または癌の既往の無い35~89歳の15,628名の男性と20,685名の女性)のデータについて分析した。心血管疾患による死亡の性特異的ハザード比(HR)は、層別化されたCoxハザードモデルを用いて、血清尿酸値を五つのグループに分けて推定した。

結果:441,771人・年の追跡期間中に、我々は1,288件の心血管疾患死を記録した。血清尿酸値と心血管疾患死との間にJまたはU字型の関係が観察された。血清尿酸値の最低五分位と比較して最高五分位は、男性(HR:1.28、95%CI:1.01~1.63)および女性(HR:1.51、95%CI:1.14~1.99)ともに、心血管疾患死亡の増加と関連していた。一方で、男女とも、脳卒中・冠動脈疾患・心不全による死亡との有意な関連は見られなかった。

結論:日本においてこの大規模プール解析は、血清尿酸値と心血管死との間にJまたはU字型の関係を示唆した。血清尿酸値の最も高い五分位において日本人男女ともに心血管疾患死の増加と関連していた。

読後感想:高尿酸血症は痛風性関節炎、腎不全、尿路結石を起こすだけではなく生活習慣病としての側面も有している。高血圧患者において血清尿酸値と心血管リスクとの関係を調べたWorksite study、PIUMA studyなどでは血清尿酸値は心血管リスクの独立した危険因子であることが示されている。しかし今までは尿酸値の高値にだけ注目されていたが、今回の研究ではJ字型の影響が確認され、低値でも危険因子となることが示された。これは大変興味深い結果であり、これらの研究がさらに進み今まで以上にはっきりとした血清尿酸値の至適範囲が示されることを切望する。(薬剤師 加藤 仁)

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